しもやけの思い出の話
20代後半だったろうか、冬に野外での労働をしていたために指が赤く腫れて痛くてどうしようもなくて人生初の皮膚科に行った。ひどい日焼けをしたとき病院に行くという選択肢が頭に無かったため、泣きながらひたすら耐えた日々が懐かしい。皮膚科のセンセイはご年配のご婦人センセイで私の指を見るなり「あ〜これは痛かったでしょ〜。今どきしもやけなんて珍しい」と言った。ユベラとヒルドイド(とあともうひとつは忘れた)を処方してもらって、無事にその冬は超えられた。労働は結局辞めた。
覚えているのは「痛かったでしょう」という共感の言葉が泣くほど欲しい言葉だったこと。しもやけにはビタミンEが良いということ。
数年経って別の科に診察行ったとき、受付カウンターにあるお知らせの沢山の紙のひとつにあのご婦人センセイの退職を知らせる紙があって、もうしもやけの心配も無いから皮膚科には用は無いけど、ご婦人センセイがもういないことが寂しかった。
全部、昔話だな。